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「ダブルリーズ 西洋館コンサート vol.2」
洋館で親しむバロックシリーズ 第41回
2013年9月16日(月・祝)18:00 横浜市イギリス館
出演
大山有里子(バロック・オーボエ)
大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、バロック・オーボエを始める。これまでに各地でピリオド楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加し、現在は関東を中心に活動している。「クラングレーデ」「アルモニー・アンティーク」メンバー。
今西香菜子(バロック・オーボエ)
13歳よりオーボエを始め、これまでにオーボエを東野正子、本間正史、柴山洋に師事。リチャード・ウッドハムス、若尾圭介、ジョナサン・ケリー等のマスタークラスを受講。桐朋学園大学及び同大学研究科修了。
大学在学中にバロック・オーボエを始め、本間正史に師事。現在フリーで演奏活動中。音楽教室エンゼルミュージック講師。「トリオはちみつ」メンバー。
永谷陽子(バロック・ファゴット)
桐朋学園大学卒業。同大学研究科及び桐朋オーケストラアカデミー修了。
ファゴットを浅野高瑛、武井俊樹、馬場自由郎各氏に、バロック・ファゴットを堂阪清高氏に師事。第26回古楽コンクール奨励賞。モダン・クラシカル・バロック・ファゴット奏者としてオーケストラや室内楽で活動。
寺村朋子(チェンバロ)
東京芸術大学チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロと通奏低音を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回古楽コンクール・チェンバロ部門第2位入賞。
イタリア、オーストリー、ベルギーなど国内外のアカデミーに参加し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」出演、その他多くの団体と様々な演奏活動を行う。
トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年再版)を編曲、出版。2010年ワオンレコードよりチェンバロ・ソロCD「お気に召すままCapriccio」(レコード芸術準推薦)をリリース。
小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。日本チェンバロ協会運営委員。
「ダブルリーズ 西洋館コンサート vol.2」
洋館で親しむバロックシリーズ 第41回
ダブルリードの楽器(オーボエとファゴット)はバロック時代には最も頻繁に聴かれた管楽器といえるでしょう。しかしながら、今日ダブルリード楽器とチェンバロのみのコンサートは意外と聴く機会がないのではないでしょうか。
本日は昨年に続き、Vol.2として、再びその独特の表現力にとんだ響きを楽しんでいただければと思います。
プログラム
J.F.ファッシュ(1688-1758):ソナタ(四重奏曲)ヘ長調 FWV N:F1
ohann Friedrich Fasch:Sonata (Quartet) FWV N:F1
Andante
/ Allegro / Largo / Allegro
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュはドイツの楽長、作曲家で、バロックから古典派への過渡期に置ける重要な改革者の一人です。
特に管楽器の扱い方には独自性がみられ、当時の人々からも注目されました。膨大な量の手稿譜が残されていますが、存命中には一曲も出版されなかったこともあり、どのぐらいの作品が作曲されたのかはまだはっきりわかっていません。
本日演奏するソナタはオリジナルでは2本のオーボエと2本のファゴットのための曲ですが、ファゴットパートの一つをチェンバロ(通奏低音)で演奏します。
J.プラ(1728-1762):トリオ・ソナタ第4番 ハ長調
José Pla:Sonate en trio W
Allegretto
/ Cantabile (Largo) / Allegretto
ホセ・プラはスペインのオーボエ奏者・作曲家です。オーボエの腕前はすばらしく、兄のジョアン=バティステと共に諸外国を演奏して回り、高く評価されていました。
残されている作品(トリオ・ソナタが多数)もおそらくは兄弟で演奏するための作品で、作曲も協力し合っていたのではないかと思われます。
この曲は1759年にパリで出版された6曲1組のうちの1曲です。2つのヴァイオリンと通奏低音のほか、オーボエ、フルート、パルドゥシュ・ド・ヴィオールでも演奏できると書かれています。
A.コレッリ(1653-1713):ファゴット・ソナタ ト短調 Op.5-7
Arcangelo Corelli:Sonata g minore Op.5-7
Preludio / Corrente / Sarabanda / Giga
今年は、イタリアの作曲家アルカンジェロ・コレッリの没後300年にあたります。
ヴァイオリンの名手だった彼は、ボローニャで音楽の勉強をし、ローマなどで活躍。難しいテクニックを避けた、気品の高いスタイルは、後世の作曲家、ヴィヴァルディやバッハなどにも大きな影響を与えています。
現存する作品が少ないのは、遺言により、納得した作品だけを出版し、あとは廃棄したためだと言われています。
作品5は、18世紀末までにヨーロッパの諸都市で再販を重ねる大ベストセラーになりました。原曲はヴァイオリンのための曲ですが、本日はファゴットで演奏します。(永谷陽子)
J.B.ボワモルティエ(1689-1755):トリオ・ソナタ ニ短調Op.28-4
Joseph Bodin de Boismortier:
Sonate en trio W Op.28-4
Allemanda (Allegro) / Corrente /
Adagio / Minuetto - Minuetto
2o
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエは、さまざまなジャンルの膨大な数の作品を作曲し、フリーランスとして財をなしたフランスの作曲家です。
貴族などのパトロンの庇護のもとで活動するのが普通だった当時の音楽家のなかでは、異色の存在と言えるでしょう。
作品28は2本のオーボエと通奏低音のための6曲のトリオ(フルート、ヴァイオリンでもよい)と、2曲のコンチェルトが含まれています。
C.P.Eバッハ(1714-1788):オーボエ・ソナタ(オーボエ・ソロ)ト短調
Carl Philipp Emanuel Bach:Hoboe solo H549; W135
Adagio
/ Allegro / Vivace
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハはヨハン・セバスティアン・バッハの次男です。
フリードリヒ大王に30年近く仕え、著書「正しいクラヴィーア奏法」の伴奏に関する章はフリードリヒの伴奏者としての経験から生まれました。
このオーボエ・ソナタは、1731年から1737年の間に書かれたとされており、エマヌエルの若い時期の作品です。
しかし、その年齢で書いたとは思えないほど音楽的に成熟しており、父親ゆずりの才能をみることができます。(今西香菜子)
D.スカルラッティ(1685-1757):チェンバロ・ソナタ
K.24イ長調、K.87ロ短調、K.114イ長調
Domenico Scarlatti:Sonata K.24 K.87 K.114
ドメニコ・スカルラッティは、1685年(ヘンデルやバッハと同年)、イタリアのナポリに生まれ、若き修行時代にはイタリアを訪れていたヘンデルに出会い親交を深めます。
その後、王女マリア・バルバラの音楽教師となり、王女の結婚に伴いスペインへ移り住みます。
異国の街の音に触発され、イタリアとイベリアが溶け込んだ舞踏のステップ、花火、ギター、カスタネットなど日常生活の音からの印象に溢れた作品を残しています。
当時の音楽旅行記の著者バーニーは、「霊感の閃きによって伝統的に守られてきた多くの規則を恐れることなく退け、初めて体感する新しい大胆な効果をもたらした」と述べています。
500数曲にのぼる彼のソナタの中から本日は3曲演奏いたします。(寺村朋子)
G.F.ヘンデル(1685-1759):トリオ・ソナタ ト短調Op.2-5 HWV 390a
Georg Friedrich Händel:Trio sonata Op.2-5 HWV 390a
Largetto / Allegro / Adagio / Allegro
ドイツのハレに生まれたゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルは1712年にロンドンに移住し、1727年には正式に帰化しました。このトリオ・ソナタHWV 390aを作曲したのは1718年頃です。
この曲は12種類ほどの筆写譜や当時の出版譜で残されていますが、楽器指定はヴァイオリン、オーボエ、フルートと様々です。
当時は著作権ということが認識されていなかったためで、他の作曲者の名前が書かれている楽譜さえあります。
現在は一般に2本のヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタとして知られていますが、調性、音域ともに2本のオーボエで演奏するのにまったく無理がありません。
ヘンデルがどう考えて作曲したにせよ、当時オーボエで演奏されたことがあったと考えてよいと思われます。
アンコールは、たくさんの拍手をいただきましたので、「A.ロッティ:四声のソナタ 《エコー》よりプレスト」をお届けします。
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