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Special Concert

  

アンサンブル山手バロッコ演奏会

古楽コンサート 

 

〜三本の笛で味わう

100年のバロック音楽〜

Three Flutes and 100 years of Baroque Music History

201636日(日) 開場:14:00 開演:14:15(終了予定:15:30)

横浜市開港記念会館(ジャック)講堂


14
00 6th March 2016 at Yokohama Kaiko-kinen-kaikan Hall

主催:中区地域振興課

 

出演

国枝 俊太郎:リコーダー、フラウト・トラヴェルソ(賛助出演)

東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。
これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。
現在はバロック室内楽を中心に、リコーダー・アンサンブルによるルネサンス〜現代までの作品や、ギターとのアンサンブルによる19世紀のサロンピースの演奏、さらには古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。
ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」、バロックアンサンブル「クラングレーデ」、「ムジカ・レセルヴァータ」メンバー。

 

菊池かなえ:フラウト・トラヴェルソ(賛助出演)

3歳からピアノ、10歳よりフルートを始める。東京音楽大学附属高等学校、桐朋学園大学でフルートを学ぶ。 同大学研究科においてフルート専攻及び古楽器科フラウト・トラヴェルソ専攻修了。大学在学中よりバロック時代のフルートであるフラウト・トラヴェルソを始め、以後時代によって様々に変わるフルートを手がけて行く。現在、ルネサンスフルートからバロック、クラシカル、ロマンティックフルートなどの多鍵フルート、現代のフルートまでのレパートリーを持ち、活動している。
6回日本フルート協会主催コンヴェンションコンクール第2位、第24 National Flute Association 主催 Young Artist Competition 優勝(ニューヨーク)。

hp://www.kikuchikanae.com

 

アンサンブル山手バロッコ

1998年、横浜山手の洋館「山手234番館」のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家・朝岡聡を中心に結成された古楽器を使った演奏団体。継続的に横浜山手の洋館での演奏活動を続けています。
また、西洋館でのコンサート「洋館で親しむバロック音楽」などの企画・プロデュース、古楽祭「横浜・西洋館de古楽」にも演奏・運営を通じて参加し、バロック音楽を分かりやすく伝える活動も行っています。本日の演奏メンバーを紹介します。

 

 

曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)

 

 

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

 

角田幹夫(ヴィオラ・ダ・ガンバ)

慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。

和田章(チェンバロ)

小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。


アンサンブル山手バロッコ演奏会

古楽コンサート 

 

〜三本の笛で味わう

100年のバロック音楽〜

Three Flutes and 100 years of Baroque Music History

     

バロック時代の様式のフルート3本を

3つの塔に見立て、

17世紀から18世紀まで

バロック音楽100年の流れをたどります

 

プログラム

開港記念会館は来年で100周年を迎えますが、このコンサートは、もう少し時代をさかのぼったところからスタートしましょう。バロック音楽は1600年から1750年といいますから400年ほど前の侍の時代にあたります。有名なバッハが生まれたころ、日本では徳川吉宗の時代に、フランスで楽器に変化が起こり、バロックのフルートが誕生し、リコーダーもバロックの最終形に変化しました。その後、1730年ころから、フルートは少々変化し、次のモーツァルトの時代、つまりバロックから古典派の変化、時代はフランス革命の市民の時代に向かい、新たな変化がありました。それから100年ほどたったロマン派の時代に、日本は開国し、バッハからベートーヴェン、ブラームスなど150年分の音楽が一気に入ってきました。そのころ、みなさんよくご存じの、現在のフルートの原型が開発されました。

【バロックフルートの誕生】

 J.オトテール 3本のフルートのためのファンファーレ

オトテールは演奏家で作曲家また楽器製作家でした。オトテール一族が17世紀の終わりに、バロック時代までのルネサンス時代のフルート(これは一本の円筒だったのですが)を3つの部分に分かれた逆円錐形と変化させ、1つ鍵を追加し、音域を拡大し、すべての半音を演奏可能にすることで、独奏楽器としてバロック音楽の中心で活躍するきっかけを作りました。当時はフルートというとリコーダー(縦笛)のことを指していました。したがって、このフルートを指すには、横に構えるフルート(フラウト・トラヴェルソ)とわざわざ区別していました。

 

【縦のフルート リコーダー】

B.マルチェッロ リコーダーと通奏低音のためのソナタ ニ短調 作品2-2 

アダージョ - アレグロ - ラルゴ - アレグロ

次に、バロック時代の笛といえば、この楽器を意味するリコーダーの曲を聴いてみましょう。なお、先ほどのオトテール一族は、リコーダーについても、画面上のルネサンス期の楽器から、皆さんの知っている形のバロック期のリコーダーも創り出したといわれており、実に重要な一族です。

マルチェッロは、イタリア・バロック音楽の作曲家・音楽評論家。実はこの人は貴族で、議会の議員や施政官という職を持ちながら、アマチュア作曲家として500曲以上の曲を残しました。曲は4つの部分に分かれています。

 

【バロックフルートの変化】

J.B.ボワモルティエ 3本のフルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 作品34-3

アンダンテ − プレスト − アダージョ − アレグロ

続いて、フルートの変化を見ていただきながら、進めることにしましょう。18世紀も中ごろになると、フルートは多く使われるようになりました。今のように電子チューナーのない時代、当時は町ごとにピッチがことなっており、旅の演奏家は、どの町でも演奏できるように、いろいろな長さの笛を持ち歩きました。そのため様々なピッチに合わせられる4本つなぎの楽器が現れました。今度はこのタイプの楽器の音を聞いていただきます。

ボワモルティエは当時の流行作曲家。王様や貴族に使えるのが音楽家の道だった当時、楽譜出版で生計をたてていた珍しい音楽家です。

 

【縦横のフルートの競演@】

J.J.クヴァンツ リコーダー、フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調

アフェットゥオーソ − アラブレーヴェ − ラルゲット − ヴィヴァーチェ

クヴァンツは、ドイツのフルートの名人で、フリードリヒ大王につかえ 、フルートのために何百曲も作曲しました。また、フルートを改良し、教則本も出版しました。写真にあるのはこの人の楽器で、いろいろな長さの管を持っている重箱のようなケースに入っています。本日の曲はリコーダーとフラウト・トラヴェルソを組み合わせた大変珍しい編成の曲です。

 

【新しい時代への変化】

 J.F.クラインクネヒト フルートとチェンバロのためのソナタ ニ長調 作品3-2

アレグロ マ ノン トロッポ − アモローソ/ポコ アンダンテ − スケルツアンド/アレグロ アッサイ 

つぎは、新しい時代の音楽です。クラインクネヒト:フルートとチェンバロのためのソナタ ニ長調 は、チェンバロが、伴奏でなく独奏としてフルートと競演するものです。通奏低音の役割でのチェンバロは、楽譜は一段で書かれていて、このバスのラインを左手で演奏し、それに右手で即興的に和声をつけていくものでしたが、この曲は、2段の楽譜で書かれており、上がチェンバロの右手(メロディー)、左手がバスの支えを演奏します。3つの部分からなりますが、どの部分もお洒落で軽快なバロックからロココへ移り変わりが感じられます。

 

【バロック時代最高の人気作曲家:縦横フルートの競演A】

G.Ph.テレマン リコーダー、2本のフルートと通奏低音のための四重奏曲 ニ短調 「食卓の音楽」第2集

ラルゴ - アレグロ - アンダンテ - アレグロ

それでは、バロック時代のフルート音楽のまとめとして、当時欧州で最高の人気を誇った、テレマンの四重奏曲をお聴きいただきます。縦笛とフルート2本という組み合わせは、おそらくこの曲だけ残っています。しかも、大変な名曲で、4つの部分から構成されています。どうぞたっぷりとお楽しみ下さい。私たちの楽団の主催者はフリーキャスターの朝岡聡ですが、「リコーダーが水戸黄門で、2つのフルートが助さん・格さん思って聞くと良い」といっています。まあ、時代的にはそのころの曲ですが、そのように想像してお聴きになるかは、みなさまにお任せします。

 

【バロックから古典派(クラシック)へ 楽器の大きな変化】

W.A.モーツァルト/H.リー 《フィガロの結婚》より序曲、フルート三重奏 ニ長調 KV492

一緒に楽しんでまいりました、3塔のフルートの旅も終わりに近づきました。フランス革命、日本では田沼意次の時代で、バロックは、クラシックへと大きく変化しました。古典派の時代に入り、管楽器は、より均一で力強い音色が好まれるようになり、フルートも、ピッチも少し高くなり、1つだった鍵の数も4個、7個、10個と徐々に増加していきました。

最後に、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の序曲を19世紀のロンドンのフルート奏者リーが3本のフルート(クラシカルフルート)のために編曲したものをお聴きいただき、この音楽の旅を締めくくることに致しましょう。

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