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61st Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第61回演奏会

外交官の家で味わう庭園と音楽

イタリアン・チェンバロで綴る

いにしえの歌

Pleasure of Ancient Tunes with Italian Cembalo

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第59

2015117日(土)午後6時開演 外交官の家(横浜市中区山手町16)  
18
00 7th November 2015 at Yokohama Gaikoukan-no-ie

主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/外交官の家

 

出演

大村 千秋:チェンバロ(堀栄蔵:1990年、1600年頃のイタリアン・チェンバロによる)

東京藝術大学大学院古楽科チェンバロ専攻を大学院アカンサス音楽賞を得て修了。
2009
年度文化庁新進芸術家海外研修員として渡欄、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびフォルテピアノ科にて学ぶ。

 

21回古楽コンクール山梨において最高位、またAmsterdam Virtuosi 2011(フォルテピアノ)にて第1位受賞。
チェンバロを崎川晶子、大塚直哉、ボブ・ファン・アスペレン、アンネリー・ドゥ・マン(現代音楽)、フォルテピアノをリチャード・エガーの諸氏に師事。

 

2011年に帰国後は、チェンバロ、フォルテピアノのソリストとして、また通奏低音奏者として国内外で演奏、CD録音や音楽祭、レクチャーコンサートなど多方面で活躍している。
さらに近年は、チェロの富田牧子氏とのデュオや藤原一弘氏率いる声楽アンサンブルAffetti mvsicali等、気鋭の音楽家と共に意欲的なプログラムに取り組み、活動の幅を広げている。
現在、桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。

http://www.chiakiomura.wordpress.com

 


 外交官の家で味わう庭園と音楽

イタリアン・チェンバロで綴る

いにしえの歌

Pleasure of Ancient Tunes with Italian Cembalo

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第59

 

外交官の家へようこそ。明治43(1910)年に建てられた由緒ある西洋館で、1997年に横浜市が寄贈を受け、山手イタリア山庭園に移築復元されました。今回のコンサートは、このイタリア式庭園を臨む洋館の雰囲気の中で歌をテーマにしたチェンバロの演奏を楽しみます。      

 

プログラム

 

J. ダウランド :「わが敵なる運命よ」

  John Dowland (1563-1626) : Fortune” 

P. フィリップス :「わが麗しのアマリッリ」

Peter Philips (1561-1628) :  Amarilli” 

 

J. ダウランド :「彼女はわが過ちを許してくれようか」

John Dowland (1563-1626) : Can she excuse my wrongs

 

J.ダウランド : 「涙のパヴァーヌ」(「流れよ、わが涙」)

John Dowland : Lachrimae Pavan (Flow my tears)

 

R. ジョンソン:「蜂が蜜を吸うところで」

  Robert Johnson (c1583-1633) : Where the bee sucks

R. ジョンソン:「見たことがありますか、百合が鮮やかに咲き初めるのを」

  R. Johnson : Have you seen the bright lily grow?

 

W. バード:《ネヴェル夫人のグラウンド》

  William Byrd (1540-1623) : My ladye Nevels Grownde

W. バード :「ウォールシンガム」

William Byrd : Walshingham

 

A. スカルラッティ : トッカータ イ長調

Alessandro Scarlatti (1660-1725) : Toccata in A

 [Allegro] Presto partita alla Lombarda Fuga

D. スカルラッティ : 3つのソナタ  ニ短調、ニ短調、ト長調

Domecnico Scarlatti (1685-1757) : 3 Sonatas K.141, K. 213, K. 401

 

J.S. バッハ :《イタリア風アリアと変奏》イ短調 BWV989

Johann Sebastian Bach (1685-1750) : Aria Variata BWV989

 

 

 

プログラムノート

イギリスのヴァージナル音楽家、フィリップス麗しのアマリッリは、カッチーニの同名の有名な歌曲を、チェンバロ独奏に編曲したものです。彼はカトリックの教えを守るためにイギリスを離れましたが、音楽についてもイタリア風であるといわれています。

ダウランドはイギリスのリュート奏者、作曲家。ヴェネツィア、フィレンツェなどヨーロッパ各地を遍歴し、デンマークで王室リュート奏者を務めた後、故郷に戻り英国王付きのリュート奏者となりました。流れよ わが涙は、もともと器楽合奏曲(ラクリメ)として作曲されたものが、リュート伴奏の歌曲の形で当時大変有名になりました。彼女はわが過ちを許してくれようかは生前に出版された≪リュート伴奏つきの歌曲集第1巻≫に収められたものです。

ロバート・ジョンソンは、エリザベス女王お付きのリュート奏者であった父亡き後、ダウランドやシェイクスピア劇場のパトロンであったケアリー男爵に引き取られ、成人してからは宮廷リュート奏者としてジェームズ1世およびチャールズ1世仕えました。劇音楽やシェイクスピアによるリュート歌曲を数多く作曲しています。蜂が蜜を吸うところではシェイクスピアの劇テンペストの中にあるものです。見たことがありますか、百合が鮮やかに咲き初めるのをは、ベンジョンソンによる歌詞に作曲されたもの。

バードはエリザベス1世からジェイムズ1世時代に活躍したこの時期イギリス最大の作曲家。「イギリス音楽の父」とも呼ばれ、ミサ曲から聖俗声楽曲、室内楽、鍵盤作品まで多く作品を残しました。ネヴェル夫人のグラウンドは、おそらくバードの経済的支援者であり、生徒でもあったネヴェル伯爵夫人のための曲集(1591)の冒頭におさめられています。ウォールシンガムはイギリス・ノーフォークの有名な巡礼地。この巡礼地にちなんだ俗謡を主題として、バードは22の変奏を持つ鍵盤楽曲に仕立て上げました。

アレッサンドロ・スカルラッティはナポリ楽派を代表するオペラ作曲家としてその名が知られていますが、同時に高い力量をもつ鍵盤楽器奏者で、寡作ながら興味深い作品を残しています。トッカータはイタリア語の「トッカーレ(触れる)」という言葉からきており、当初はリュートや鍵盤楽器で指ならしをし、楽器の調子を確かめるための、軽く演奏する即興的なジャンルでしたが、徐々に様式化されていきました。

ドメニコ・スカルラッティは、バッハと同じ1685年の生まれ。先のアレッサンドロ・スカルラッティの息子。若い頃はローマなどで活躍しましたが、1719年にポルトガルに赴き、その後、鍵盤楽器に秀でた才能をもつ王女マリア・バルバラに仕え、彼女がスペインの皇太子と結婚すると、一緒にマドリードに移り、生涯で500曲以上のチェンバロのためのソナタを書きました。彼のソナタは多様な形式が書かれていますが、すべて単一楽章の構成となっており、複数のソナタを組み合わせて演奏することも多くなっています。本日は、急—穏のニ短調2曲と、再びテンポの速いト長調の3曲が演奏されます。

バッハは、1685年生まれのドイツの作曲家。代々音楽家の家系に生まれ、オルガン、チェンバロなど鍵盤楽器に優れた腕前を発揮し、宮廷オルガニスト、宮廷楽長、都市の音楽監督と歴任し、当時最高位の音楽家として活躍。イタリア風アリアと変奏は、若い時代に作曲されたもので、歌唱的なアリア(主題)と10の変奏からなっています。チェンバロのための変奏曲は、意外なことに、晩年の有名なゴルドベルク変奏曲とこの曲の2曲のみが残されています。

 

インタビュー

リハーサルの合間に、大村さんに西洋館でのコンサート、今回のコンサートのコンセプトなどをお聴きしました。

Q:大村さんは横浜にお住まいで、西洋館のコンサートを聴かれたり、演奏されたりされていらっしゃいますが、西洋館(外交官の家)でのコンサートはどのように感じてらっしゃいますか?

A:ホームグラウンドでの演奏は特に感慨深いもので、嬉しく思っております。山手の西洋館は子どもの頃にピアノの発表会、そして大人になってからはたびたび散策で訪れているお気に入りの場所でもあるので、今日のコンサートをとても楽しみにしていました。

Q:今回のコンサートは、「イタリアン・チェンバロで綴るいにしえの歌」というテーマですが、どのような想いで考えられたのでしょうか?

A:このコンサートのお話をいただいたとき、会場は趣ある外交官の家、そして楽器は日本におけるチェンバロ製作の草分けである名工、堀さんのイタリアン・チェンバロであると伺い、以前から取り組んでみたかった「歌」をテーマに、というアイデアがすぐに浮かびました。この親密な場で秋のひとときを皆さんとご一緒に味わうのに、古くから口ずさまれ、親しまれて来た歌はぴったりではないでしょうか。

鍵盤楽器で演奏するということは、歌とは言え歌詞がありません。もちろん歌詞の内容が音楽に表れているわけですが、お聴きいただく皆さんには、チェンバロならではの響きと共に、自由に解釈しお楽しみいただければと思います。

Q:プログラムの構成について一言。

A:前半は、イギリスの古い歌を。シェイクスピアが数々の戯曲を生み、リューティスト、ヴァージナリストたちが活躍したテューダー朝の音楽から、当時も今も名高い歌の数々をお聴きいただきます。後半は時代を100年ほど下り、舞台はイタリアです。オペラをイメージしました。華やかなスカルラッティ親子、そしてイタリアの音楽に影響を受けた若き日のバッハをお楽しみください。

どうもありがとうございました。(聞き手:アンサンブル山手バロッコ 曽禰寛純)

 

アンコール

どうもありがとうございました。

沢山の拍手をいただきましたので、

オラツィオ・ミーキ (Orazio Michi) :幼子イエスへの子守歌(Ninna nanna al Bambino Gesùお聴きいただきました。

ありがとうございました。

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