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59th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第59回演奏会

開港記念会館で味わう管・弦の競演
バッハとテレマンの協奏曲

Bachs and Telemanns Concerto

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第56

2015530(土) 14時開演(1330分開場) 開港記念会館講堂
14
00 30th May. 2015 at Kaikou-kinen-kaikan Hall

 

特別共催: 横浜市中区役所

協力: 公益財団法人 横浜市緑の協会 

出演

朝岡聡(お話)

横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後テレビ朝日にアナウンサーとして入社。1995年からフリー。TV・ラジオ・CMの他、コンサートソムリエとしてクラシック演奏会の司会や企画にもフィールドを広げている。特に古楽とオペラでは親しみやすく本質をとらえた語り口が好評を博している。リコーダーを大竹尚之氏に師事。著書に「笛の楽園」(東京書籍)「いくぞ!オペラな街」(小学館)など。1998年にフラウト・トラヴェルソの曽禰寛純と共に、アンサンブル山手バロッコを結成し、横浜山手地区西洋館でのコンサートを継続している。
「横濱・西洋館de古楽」実行委員長。

 

国枝俊太郎(フラウト・トラヴェルソ、リコーダー) 賛助出演

東京都出身。リコーダーを安井敬、フラウト・トラヴェルソを中村忠の各氏に師事。1995年開催の第16回全日本リコーダー・コンテスト「一般の部・アンサンブル部門」にて金賞を受賞。これまで東京リコーダー・オーケストラのメンバーとしてNHK教育テレビ「ふえはうたう」などに出演、CD録音にも参加する。現在はバロック室内楽を中心に、古楽器オーケストラによる数々の演奏会に出演するなど、幅広く活動している。バロックアンサンブル「クラングレーデ」「ムジカ・レセルヴァータ」、ルネサンス・フルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」メンバー。 

 

曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。1998年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

小野 萬里 (バロック・ヴァイオリン) 賛助出演

東京芸術大学ヴァイオリン科卒業。1973年ベルギーに渡り、バロック・ヴァイオリンをS. クイケンに師事、以来たゆみない演奏活動を展開している。現在、コントラポント、クラシカルプレイヤーズ東京、チパンゴコンソート、ムジカ・レセルヴァータのメンバー。

 

石川和彦 (バロック・ヴァイオリン) 賛助出演

大阪音楽大学器楽科卒業後バロック・ヴァイオリンを始め、コレギウム・ムジクム・テレマンの主な公演に出演。2001年に渡仏し、ストラスブール音楽院にてバロック・ヴァイオリンとバロック音楽の研鑽を積む。フランスで“Le Parlement de Musique”などで活躍、現在、室内楽やオーケストラでモダン、古楽器とも活発に活動している。ヴァイオリンを曽田義嗣、林泉、佐藤一紀、バロック・ヴァイオリンを中山裕一、フランソワ・フェルナンデス、ステファニー・プィステー、桐山建志各氏に師事。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。

 

原田純子(バロック・ヴァイオリン)賛助出演

洗足学園音楽大学卒業。ヴァイオリンを鈴木嵯峨子氏に師事。慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。卒業後古楽器での演奏に興味を持ちバロックヴァイオリン・ヴィオラを渡邊慶子氏に師事する。
モダン・バロックのヴァイオリン、ヴィオラ奏者として室内楽を中心に活動している。弦楽合奏団アンサンブルデュナミス、バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。

 

角田幹夫(バロック・ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ)

慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。

 

山口隆之(バロック・ヴァイオリン、バロック・ヴィオラ)

学生時代、独学でバロック・ヴァイオリン、ヴィオラを始める。アンサンブルを千成千徳氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコメンバー。都留音楽祭実行委員。歌謡曲バンド「ふじやま」リーダー。

 

小川有沙(バロック・ヴィオラ)

慶應バロックアンサンブルでヴィオラを演奏。卒業後、オーケストラ、室内楽の両面で活動している。アンサンブル山手バロッコメンバー。

 

櫻井 茂(ヴィオラダ・ガンバ)賛助出演

学習院大学及び東京芸術大学卒業。芸大ではコントラバスを専攻。また、芸大バッハ・カンタータ・クラブにおいて小林道夫氏の薫陶を受ける。
ヴィオラ・ダ・ガンバを大橋敏成、L.ドレイフュスの両氏に師事、またC.マッキントッシュ、J.リンドベルイ、S.ハウグザンらにアンサンブルの指導を受ける。
独奏者として国内外で活動。海外の著名バロックオーケストラの来日公演にも多数出演。L.ドレイフュス主宰のコンソート「PHANTASM」には94年の創設プロジェクトに参加
以来、度々客演する。ヴィオローネ奏者としてはバッハ・コレギウム・ジャパン等の古楽アンサンブルに参加。

中尾晶子(バロック・チェロ)

チェロを佐々木昭、アンサンブルを岡田龍之介、花岡和生の各氏に師事。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコメンバー。

 

飯塚正己(コントラバス)

学生時代よりコントラバスを桑田文三氏に師事。卒業後河内秀夫、飯田啓典の各氏より指導を受け演奏を続けている。アンサンブル山手バロッコメンバー。

 

和田章(チェンバロ)

 

小林道夫にチェンバロを師事。慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。アンサンブル山手バロッコ発足メンバー。


 

アンサンブル山手バロッコ第59回演奏会

開港記念会館で味わう管・弦の競演
バッハとテレマンの協奏曲

Bachs and Telemanns Concerto

 

 

 2009年、横浜開港150周年の記念行事としてスタートした開港記念会館でのコンサート。第1回から横浜市のご支援をいただき、本年は「バッハとテレマンの協奏曲」と題しまして、バラエティ豊かな協奏曲をたっぷりとお届けいたします。これまで、協奏曲では、弦楽器、管楽器、鍵盤楽器を独奏楽器として取り上げてまいりましたが、今回は鍵盤楽器の独奏を1回お休みし、弦楽器や普段あまり耳にする機会のない組み合わせの曲にスポットをあてました。弦楽器の協奏曲をもっと!という声にもお応えし、すべて弦楽器が独奏楽器で絡む曲となっております。バッハとテレマンの作曲家としての競演、また弦と管の楽器の競演を、素晴らしいゲストのみなさまの演奏とともに、どうぞお楽しみください。 

 

 

G.Ph.テレマン(16811767)
G.Ph.Telemann/

2本のフルートとヴァイオリンのための協奏曲 ホ短調 TWV53:e1
Concerto for two flutes and violin in e-minor TWV53:e1

ラルゲット - (指定なし) - ラルゴ - アレグロ
Largetto - (      ) - Largo Allegro

 テレマン(1681-1767は、ドイツの内陸マクデブルクで生まれました。ライプツィヒで学び、バッハの生地アイゼナッハの宮廷楽長やフランクフルトの音楽監督を経て、1721年には、優れた港を持ち貿易で大いに栄えたハンザ自由都市ハンブルクの音楽監督に就任し、その地で亡くなるまでオペラ、協奏曲、室内楽曲や教会音楽を多数作曲し、また楽譜の予約出版を行うなど、当時随一の流行作曲家となり、ヨーロッパ中に高い名声を轟かせました。

 テレマンのフランクフルト時代(1718年前後)には、10曲ほどのフランス趣味の協奏曲が書かれました。 2本のフルートとヴァイオリンのための協奏曲は、その中の一つで、イタリアの協奏曲の原理に、フランス趣味を融合したことが特長になっています。曲は、テレマンの好んだ緩・急・緩・急の四つの楽章からなっていますが、最初の二つの楽章がフランス風序曲の緩・急の部分に対応し、残りの二つの楽章も舞曲形式を借用していますので、フランス風序曲(組曲)とイタリアの協奏曲(合奏協奏曲)の趣味を合体させたものと言えるかもしれません。また、合奏協奏曲は、本家イタリアでは2本のヴァイオリンとチェロが独奏群(コンチェルティーノ)になるのが標準でしたが、この曲は音域の高い2本のフルートとヴァイオリンという組み合わせがユニークです。

 第1楽章はフランス風のゆっくりとした付点のリズムで始まり、全奏と独奏が交互に現れるイタリア風リトルネロの形式が合体しています。フルートの独奏部分では、独奏ヴァイオリンが低音(バセットヒェン)を担当するなど、合奏協奏曲の構成も意識されています。経過部を経て始まる第2楽章は、対位法的な早い楽章になりますが、ソロのエピソードが挟み込まれる協奏的序曲の性格も併せ持っています。フルートのソロで始まる第3楽章は、サラバンドのリズムに乗って展開していきます。最後の楽章は、疾走する舞曲ブレの様式を下敷きに出来ていますが、テレマンの特長である土臭いポーランド民族音楽の香りも巧みにブレンドしています。

 

J.S.バッハ (16851750
J.S.Bach/

ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
Brandenburg Concert No.6 in Bb-Major BWV-1051

(指定なし)- アダージョ・マ・ノン・タント - アレグロ
      - Adagio ma non tanto Allegro

バッハ(1685-1750)はドイツで伝統的な音楽一家に生まれ一生をドイツ国内のしかも限られた地域で過ごしました。しかし若いころから有名な音楽家に会いに宮廷や教会都市を訪ね、バッハ家に伝わる曲やヴィヴァルディなど時代の先端を行く曲を筆写し勉強しました。テレマンとの親交も深く、同じように音楽的な趣味の融合を進め、様々な音楽、過去および未来につながる全ての要素を取り込み、高めました。

 ブランデンブルク協奏曲第6番は、バッハの曲の中でも最も有名な曲の1つであるブランデンブルク協奏曲の最後を飾る曲です。バッハのケーテン宮廷楽長時代の1721年にブランデンブルク辺境伯ル−ドウィヒ候に献呈されたため、この名前で呼ばれていますが、就職先斡旋を期待し捧げたバッハ自選の傑作集とも言えましょう。この6番は、ヴァイオリンを含まず、独奏楽器としてヴィオラやチェロの活躍する珍しい編成になっています。独奏楽器の2台のヴィオラ(バッハはヴィオラ・ダ・ブラッチョ(腕のヴィオラ)と記述)、チェロに,伴奏と一部独奏に参加する2台のヴィオラ・ダ・ガンバ(足のヴィオラ)が加えられており、中音域の充実した曲になっています。 ケーテンのお殿様は、このヴィオラ・ダ・ガンバを愛し、演奏したこと、バッハはヴィオラをよくアンサンブルで演奏したことから、この曲は、ケーテンの宮廷での王様を交えた演奏のための曲であるという説や、バッハが当時の王侯貴族の楽器で、かつ独奏楽器として華やかだったヴィオラ・ダ・ガンバを伴奏(下僕)とし、縁の下の力持ち的だったヴィオラ(庶民)を、独奏楽器として活躍させた社会風刺であるという説もあります。 いずれにせよ、バッハらしい緻密で、掛け合いの妙が随所に表れる名曲だと思います。

 

G.Ph.テレマン(16811767)
G.Ph.Telemann/

リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバのための協奏曲 イ短調 TWV52:a1
Concerto for Recorder and Viola da gamba in a-minor TWV52:a1

グラーヴェ - アレグロ - ドルチェ - アレグロ
 Grave Allegro - Dolce - Allegro 

リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバのための協奏曲は、テレマンの協奏曲の中でも有名なものの一つですが、高音域のリコーダーと中低音域のヴィオラ・ダ・ガンバという組み合わせ、伴奏の弦楽がヴァイオリン、ヴィオラ、バスだけからなる省略形であることなど、テレマンの協奏曲のなかでも珍しい編成です。曲は、当時の貴族階級の華やかな音楽生活のなかで大変好まれた田園趣味を代表するリコーダーの音色と、貴族の楽器ヴィオラ・ダ・ガンバを組み合わせています。音楽的には、3連符や短長のロンバルディア・リズムの多用などギャラント様式の特長があることからハンブルク音楽監督の1730年代の作曲と考えられています。

 第1楽章は軽やかな付点リズムで始まり、この貴族の愛する二つの独奏楽器がその音域のギャップにもかかわらず対等に会話を繰り広げます。第2楽章は、第1楽章の軽やかな序奏から一転してエネルギー溢れる曲想に変わり、合奏とソロが交互に曲を紡ぎだしていきます。ソロは単独で、また2つの組み合わせでその響きと腕前が披露されます。続く第3楽章は6/8拍子の田園趣味の緩徐楽章でソロ楽器2つと通奏低音だけで演奏されます。最終楽章はポーランド風のロンドです。テレマンお得意の民族音楽のスパイスを効かせながらも、ギャラントで軽やかな響きを保ちつつ、曲を閉じます。

 

G.Ph.テレマン(16811767
G.Ph.Telemann
  

フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のため協奏曲 ニ長調  (協奏曲第2)
Concerto for Flute, Violin, Viola da gamba and Basso continuo D-Major 

アレグロ – アフェトゥオーソ – ヴィヴァーチェ
Allegro - Affettuoso - Vivace

協奏曲第2番「クヮドリ」は、本日の協奏曲の中では最も少ないメンバーによる四重奏曲がその構成になっています。テレマンは、先の2曲でも顕著なように、いろいろな趣味(お国ぶり、音楽形式)の融合を進め、新しい楽しみを提供し続けた作曲家であり、いくつかのジャンルは彼を発信地としその周辺へ広まりました。「協奏曲風四重奏曲」というジャンルもその一つです。この曲はハンブルクで1730年に出版された6曲の四重奏曲の中に含まれています。6曲は協奏曲、ソナタ、組曲がそれぞれ2曲の構成になっています。この曲はテレマン自身が協奏曲第2番と名づけたとおり、全奏とソロという協奏曲の原理を巧みに盛り込み、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバの三つがソロと伴奏の役割を両方担当しています。快活な全奏から始まり各楽器の妙技が披露される第1楽章に、シシリアーノ(舞曲)のリズムでヴィオラ・ダ・ガンバが活躍する第2楽章が続き、3拍子の舞曲のリズムにソロと低音の四つの声部が追いかけっこをしているようなスリル溢れる第3楽章で終わります。

 

J.S.バッハ (16851750
J.S.Bach/

3台のヴァイオリンのための協奏曲 二長調 BWV1064a 
Concerto for 3 violins in D-Major BWV-1064a

アレグロ - アダージョ - アレグロ・アッサイ
Allegro
Adagio – Allegro assai


1723年にライプツィヒの音楽監督に就任し、カンタータ、オラトリオや受難曲など教会音楽の発展に努めたバッハでしたが、一方で市民音楽にも深く参加しました。コレギウム・ムジクムと呼ばれるライプツィヒ大学の学生を中心とする合奏団を指揮し、市内の有名なコーヒーハウスやその庭園で毎週開かれたこのコーヒー付コンサートは、ライプツィヒの街の呼び物となっていました。バッハのチェンバロ協奏曲は、独奏チェンバロが1台のものから4台のものまで、13曲が現存していますが、これらのチェンバロ協奏曲は、この音楽会でバッハ自身が(ときには息子達と一緒に)腕前を披露するために書かれたと思われます。同時代の作曲家に比べバッハがチェンバロを独奏楽器とした協奏曲をこれほど残しているのは、このためなのでしょう。ところで、これらのチェンバロ協奏曲はバッハ自身の他の独奏楽器(ヴァイオリンなど)のための協奏曲からの編曲したものと考えられていますが、原曲が残されているのは、そのうちの一部にすぎません。バッハは編曲に際しては、原曲と異なる独奏楽器であるチェンバロの能力や特長を生かすためにいろいろな工夫をしました。そのために現在ではチェンバロ協奏曲としての演奏だけでなく、その調性や音域、旋律の特長などから失われた「原曲」の独奏楽器を推定し全体の復元を試みる研究が、盛んに行われています。

 3台のヴァイオリンのための協奏曲は、「3台のチェンバロのための協奏曲第2番」ハ長調BWV1064から復元したものです。新バッハ全集で音楽学者による復元版が出版されていますし、それ以外の楽譜も出版されていますが、この曲は大変凝ったつくりになっており、またヴァイオリン→チェンバロの独奏楽器変更の際に手が加えられている部分をどう読み込むかが難しい曲です。学問的には忠実でも、現代楽器を想定した復元では古楽器の響きや合奏との調和が不自然な場面もあります。そこで、今回は山手バロッコ版を新たに起こし演奏するということにさせていただきました。古楽器アンサンブルならではの親密な響きが聞こえれば成功だと思います。

1楽章冒頭でユニゾンによりテーマを奏する三つのヴァイオリンは、第2楽章では緊密な会話を交わし、第3楽章ではそれぞれのソロが独自の性格を持ち、かつ華麗なソロを繰り広げます。 

 

アンコール

どうもありがとうございました。

沢山の拍手をいただきましたので、

バッハのカンタータ第174番“私はいと高き方を心を尽くして愛する”BWV174から「シンフォニア ト長調」

を全員でお送りします。

ありがとうございました。

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