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55th Concert

  

アンサンブル山手バロッコ第55回演奏会

西洋館で味わう

バッハのアリアとその周辺

Bachs Aria from Cantata and the related composors

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第49

2014713() 午後4時開演 山手234番館 レクチャールーム(元町公園前)


16:00
 13th July 2014 at Yamate Bluff 234

主催:公益財団法人 横浜市緑の協会/山手234番館

 

出演

衣笠千恵子(ソプラノ)

フェリス女学院大学音楽学部演奏学科卒業。洗足学園音楽大学大学院修了。在学中、選抜者による演奏会に出演。第4回都城音楽祭マスター・クラス修了。
アンサンブルでも多くの演奏会の他、ヴァチカンのサンピエトロ大聖堂等で演奏。声楽を藏田雅之、川上勝功、U.ハイルマンの各氏に師事。

 

曽禰愛子(メゾソプラノ)

声楽を川上勝功、U.ハイルマンの各氏に師事。鹿児島国際大学短期大学部音楽科及び同専攻科修了。鹿児島県新人演奏会に出演。洗足学園音楽大学大学院修了。
2013
11月 横浜音祭り「パーセル・オペラ」に出演。第85回横浜新人演奏会出演。声楽アンサンブル「ヴォーカルアンサンブル・ヴィクトリア」、「アフェッティ・ムジカーリ」メンバー。

 

並木隆浩(テノール)

国立音楽大学音楽学部演奏学科声楽専修卒業。洗足学園音楽大学大学院音楽研究科修了。2009年いしかわミュージックアカデミー、マスター・クラス修了。大学卒業時に成績優秀者による卒業演奏会に選抜。
これまでに声楽を河合孝夫、岩渕嘉瑩、山下浩司、U.ハイルマンの各氏に師事。

 

曽禰寛純(フラウト・トラヴェルソ)

フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。
1998
年にリコーダーの朝岡聡と共に、アンサンブル山手バロックを結成し、横浜山手の洋館でのコンサートを継続。カメラータ・ムジカーレ同人。

 

大山 有里子(バロック・オーボエ、バロック・オーボエ・ダモーレ) (賛助出演)

大阪教育大学音楽科卒業。同大学専攻科修了。オーボエを大嶋彌氏に師事する。卒業後、関西を中心に活動し、大阪コレギウム・ムジクムのソロオーボエ奏者として、バロック時代の作品を中心に数多くの月例演奏会、定期演奏会等に出演する。そのかたわらピリオド楽器によるバロック音楽の演奏に興味を持ち、バロック・オーボエを始める。これまでに各地でピリオド楽器によるオーケストラやアンサンブルに参加し、現在は関東を中心に活動している。バロックアンサンブル「クラングレーデ」、「ダブルリーズ」メンバー。

 

永瀬拓輝(バロック・チェロ)(賛助出演)

桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。東京藝術大学古楽科別科修了。 現在、同大学大学院修士課程バロック・チェロ専攻に在籍中。2012Stage de Musique Baroque de BARBAST(フランス)にて、R・ツィパーリング氏のマスター・クラスを受講。これまでにチェロを金谷昌治、花崎薫、倉田澄子の各氏に、バロック・チェロを武澤秀平、E・ジラール、酒井淳、鈴木秀美の各氏に師事。バロックアンサンブル「クラングレーデ」メンバー。

 

大村千秋(チェンバロ)(賛助出演)

東京藝術大学大学院チェンバロ専攻、アムステルダム音楽院チェンバロ科およびフォルテピアノ科にて学ぶ(2009年度文化庁新進芸術家海外派遣研修員)。これまでに崎川晶子、大塚直哉、ボブ・ファン・アスペレン、リチャード・エガーの各氏に師事。第21回古楽コンクール山梨チェンバロ部門最高位、Amsterdam Virtuosi 2011 (フォルテピアノ、オランダ)第1位受賞。ヨーロッパ各地で演奏を行ったのち、現在はチェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノのソリストとして、また通奏低音・アンサンブル奏者として国内外で精力的に演奏活動を展開している。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。

 


 

アンサンブル山手バロッコ第55回演奏会

西洋館で味わう

バッハのアリアとその周辺

Bachs Aria from Cantata and the related composors

“洋館で親しむバロック音楽”シリーズ 第49

 

今回は、「西洋館で味わうバッハのアリアとその周辺」と題して、西洋館の親密な空間で、古楽器の伴奏で、バッハの教会カンタータのアリアやデュエットとバロックの器楽曲をお送りします。今回も、素晴らしいゲストの皆様にご協力いただき、音の満ち溢れる空間をご一緒に楽しみたいと思います。

 

♪♪♪

J.S.バッハ(1685-1750
J.S.Bach

カンタータ 第135番「ああ主よ 哀れなる罪人われを」よりアリア「主イエスよ わたしの魂を慰めたまえ」BWV135
Aria " Tröste mir, Jesu, meine Gemüte" from Cantata no.135 " Ach Herr, mich armen Sünder"BWV135

アリア「主イエスよ わたしの魂を慰めたまえ」が歌われたのは、17256月に初演された三位一体後第3日曜日のためのカンタータで、C.シュネーガスのコラールに基づき全曲が怒れる神にすがる罪人の訴えをテーマに作られています。このアリアは、最初の合唱、次のレシタティーヴォに続いて歌われる曲で、二本のオーボエ(本日はオーボエとフルートで演奏)が舞曲のリズムに乗ったオブリガードを演奏すると、テノールは、同じ旋律で死の慰めを歌い始め、徐々にバスを含む四つの声部が絡みながら進みます。死の静けさを歌う部分では、急に音楽も静かになり、テノールでの新たなテーマが進み、最初の気分に戻って曲が終わります。

 

 

カンタータ 第99番「神のなしたもう御業こそ いと善けれ」よりデュエット「十字架の重荷と戦うときにも」 BWV99
Duett "Wenn des Kreuzes Bitterkeiten" from Cantata no.99 "Was Gott tut, das ist wohlgetan"BWV99

デュエット「十字架の重荷と戦うときにも」が歌われたのは、17249月に初演された三位一体節のためのカンタータです。このデュエットは終結のコラールの前に、神を信じ十字架を担うことこそが救いにつながるという信者の決意を歌っています。バッハは、フルートとオーボエ・ダモーレをオブリガートに、短いですが珠玉のようなデュエットを書きました。器楽のトリオソナタのようなリトルネロで始まり、同じテーマでアルト、ソプラノが加わり、五重奏の形になります。中間部分では、重荷に耐えることで喜びにつながるというテーマが展開され、最初のリトルネロが再現されて終わります。

 

 

G.F.ヘンデル(16851759
G.F.Handel

シャコンヌ ト長調 HWV435 
Chaconne in G Major, HWV 435

ヘンデルはバッハと同じ年にドイツで生まれました。イタリアに渡り、その後英国に移り住み、英国人に帰化してその後の一生を英国で過ごしました。シャコンヌは、生前にヘンデル自身により出版したチェンバロ曲集に含まれています。この曲は、舞曲の形式にのっとり低音の繰り返しの中で、様々な気分や趣が変奏曲のように続く作品で、技巧的にも大変華やかな曲です。

 

 

J.S.バッハ(1685-1750
J.S.Bach

クリスマス・オラトリオ第2部よりアリア「喜べ羊飼いらよ 急げ ああ急ぎ行け」BWV248-4
Aria "Frohe Hirten, eilt, ach eilet" from Christmas Oratorio Part-II "Und es waren Hirten in derselben Gegend"BWV248-4

続くバッハのアリア「喜べ羊飼いらよ 急げ ああ急ぎ行け」が含まれるクリスマス・オラトリオは、1734年に初演され、聖書の物語による6つの部分が、クリスマスから新年にかけてイエスの誕生を祝う祝日に6回に分けて演奏されました。このアリアは、牧歌的な序曲で始まる第2部で歌われるもので、イエスの誕生を予感する羊飼いの喜びの気分が、軽やかな低弦ピチカートにのったフルートとテノールの駆け抜けるような技巧的な音楽で表現されています。

 

 

J.F.クラインクネヒト(1722- 1794/
J.F. Kleinknecht

フルート、オーボエと通奏低音のためのソナタ ハ短調
Sonata for Flute, Oboe and Basso continuo in c-minor

アレグロ・モデラート - アモーレヴォレ ポコ・レント - アレグロ・アッサイ 
Allegro moderato
Amorevole, poco Lento Allegro assai

クラインクネヒトは、ヘンデル、バッハより一世代後の音楽家で、バイロイト宮廷楽団の奏者、宮廷作曲家として活躍しました。このソナタは、バロック後期に流行った、「ロココ趣味」「多感様式」の特徴が色濃く、変化に富み、緊張感に満ちています。

 

J.S.バッハ(1685-1750
J.S.Bach

J.S.バッハ/68番「げに神はかくまで世を愛して」よりアリア「わが心よ よろこび 歌え」BWV68
Aria "Mein gläubiges Herze, frohlocke, sing, scherze," from Cantata no.68 "Also hat Gott die Welt geliebt"BWV68

続くバッハのアリア「わが心よよろこび歌え」が歌われたのは、17255月にライブチッヒで初演された聖霊降臨節のためのカンタータ(教会の祝日の礼拝の中で演奏される声楽曲)でです。このアリアは、バッハがヴァイマール宮廷に仕えていた1713年頃に、ワイセンフェルスの殿様に捧げた「狩りのカンタータ」のアリアが原曲になっています。バッハは、教会カンタータに転用するにあたって、チェロ(小型の楽器、ヴィオロンチェロ・ピッコロ)を対旋律(オブリガート)に加え、曲の最後に器楽だけからなる部分(リトルネロ)を付け加えるなど曲を充実したものにしていますが、一番大きな変更は、ソプラノの声部に、音の跳躍や装飾などを随所に加え、イエスへのわが心の喜びを大きく表現していることです。

 

カンタータ 第125番「平安と歓喜もて われはいく」よりアルト・アリア「私は目の力が失われても」BWV125
Aria "Ich will auch mit gebrochnen Augen" from Cantata no.125 "Mit Fried und Freud ich fahr dahin"BWV125

アリア「私は目の力が失われても」が歌われたのは、17252月に初演されたマリアの潔めの祝日のためのカンタータで、イエスと出会い、満ち足りた中に亡くなったシメオン老人の逸話に基づいています。このアリアは、カンタータの冒頭の合唱の直後に、このシメオン老人の安らかな心を歌うもので、曲は8分音符で刻まれた静かな低音の上に、フルートとオーボエ・ダモーレが、ため息を表す付点のリズムではじまり、アルトの独唱が加わります。随所に和声のぶつかりや装飾が加わり表現豊かに進みますが、「死」という部分では、低音の足取りが突然とどまるなど、心の内面も深く表現しています

 

カンタータ 第191番「いと高きところには 神に栄光あれ」よりデュエット「父と子と聖霊とに栄光あれ」BWV191
Duett "Gloria Patri et Filio et Spiritui sancto" from Cantata no.191 "Gloria in excelsis Deo"BWV191

デュエット「父と子と聖霊とに栄光あれ」が含まれるカンタータ第191番がいつ演奏されたか正確な記録はのこっていませんが、1745年のクリスマスに、プロシアのザクセン侵攻終結の講和条約の締結を祝ってライプチッヒの教会でに初演されたと考えられています。バッハは、1733年作曲のドレスデン宮廷に献呈した(今日ではロ短調ミサの最初の部分として知られる)ミサ曲を転用しました。この曲は、アルト、テノールの独唱に、フルートと弱音器付きの弦楽合奏(本日は弦楽部分をオーボエ・ダモーレで演奏)で作られています。ミサ曲の第8曲「主なる神」(Domine Deus)を短縮したものですが、フルート、アルト、テノールが、歌い交わし進むことで、新たにつけられた三位一体を讃える歌詞とよく調和しています。

 

アンコール

たくさんの拍手をいただきましたので、同じくバッハのカンタータ第147番より コラール「主よ人の望みの喜びよ」をお届けします。

ありがとうございました。

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