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24th Concert

 

アンサンブル山手バロッコ 第24回演奏会

山手234番館のバロック・コンサート

サロンで楽しむハイドン・モーツァルト Part-III

 

"Haydn and Mozart" Part-III

2008315() 午後2時開演(130分開場) 山手234番館 レクチャールーム 

2
00pm 15th March.. 2008 at Yamate-234 House

 

出演 アンサンブル山手バロッコ 

わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。

曽禰寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソ Flauto traverso,)
フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶應バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。 

角田幹夫Mikio Tsunoda(ヴァイオリン、ヴィオラViolin&Viola):
慶応バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。

小松久子Hisako Komatsu(ヴァイオリンViolin):
慶応バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。エッフェ弦楽アンサンブルコンサートミストレス。

原田純子Junko Harada(ヴァイオリン、ヴィオラViolin&Viola):
慶應バロックアンサンブルでヴァイオリンを演奏。バロック・ヴァイオリンを渡邊慶子氏に師事。モダンとバロック楽器の両方で活躍。

北村貞幸Sadayuki Kitamura(チェロVioloncello):
慶應ワグネル・ソサイエティ・オーケストラ、JAO(日本アマチュア・オーケストラ)元首席チェリスト。現在、モダンとバロック楽器の両方で活動。

飯塚正己Masami Iizuka(コントラバスContrabass):
学生時代よりコントラバスを桑田文三氏に師事。卒業後河内秀夫、飯田啓典の各氏より指導を受け演奏を続けている。

酒井絵美子Emiko Sakai (チェンバロCembalo)
洗足学園音楽大学ピアノ科卒。チェンバロを岡田龍之介氏に師事。現在、ピアノ及びチェンバロ奏者として幅広く音楽活動を行っている。

浅川 真理Mari Asakawa、曽禰 愛子Aiko Sone(ソプラノsoprano)
声楽を川上勝功氏に師事。横浜雙葉学園聖歌隊メンバーとして活動し、現在、声楽アンサンブル・ヴィクトリアメンバー。


 

アンサンブル山手バロッコ 第24回演奏会

山手234番館のバロック・コンサート

サロンで楽しむハイドン・モーツァルト Part-III

 

"Haydn and Mozart" Part-III

 

 

プログラム
Program

 横浜山手の洋館での古楽器による音楽のひとときに、ようこそおいでいただきました。今回のコンサートは、ハイドンとモーツァルトの室内楽を、交響曲、オペラを含め、貴族や商人の館などサロンで楽しまれたアンサンブルの形でお届けします。

 

 

W.A.モーツァルト(17561791)/ フルート四重奏曲 ト長調 KV.285a

アンダンテ – テンポ・ディ・メヌエット

W. A. Mozart / Flute Quartet G-Major KV285a

Andante Tempo di Menuetto

1777年、マンハイムを訪れたモーツァルトは、友人のフルート奏者ウェドリングの紹介で、音楽愛好家のドジャンからの数曲のやさしい協奏曲と四重奏曲の作曲依頼を高額の報酬で受けます。作曲は遅々として進まず、苦し紛れにオーボエ協奏曲を編曲しフルートの曲とするなどの手を使ったが、(事がばれて)十分な報酬を受け取れなかった、といった逸話が残されています。父親への言い訳では、フルートのような好きでない楽器には作曲の気乗りがしないのだ、といっていますが、交響曲、オペラなどでのフルートの使い方を考えるととても真実とは思えません。(真実は、当時、恋人のアロイジア・ウェーバーに夢中だったので、作曲に集中できる状態でなかったということのようです。)このト長調の四重奏曲は、ドジャンがマンハイムを出立する直前にかかれたとも言われますが、伝承が不完全でモーツァルトの作品の真偽を問われる作品でもあります。

曲はギャラントな様式で作られており、ソナタ形式の第一楽章には、優雅な偽終止、オクターヴの重ねの響きなど、当時のパリを中心として流行した最新の好みが反映されています。続く第ニ楽章は、2部形式のメヌエットに、小さな終止部が付け加わった可愛らしく優雅な曲となっています。

 

W.A.モーツァルト(17561791) / オペラ フィガロの結婚 KV492 より 2つのアリア

W. A. Mozart / 2 Arias from the Opera Le Nozze di Figaro K 492

 フィガロの結婚は、1786年ウイーンで初演されました。結婚をひかえた伯爵の従僕フィガロと伯爵夫人の侍女スザンナ、倦怠期を迎えスザンナに思いを寄せる伯爵、それを悲しく思う伯爵夫人や夫人に想いを寄せる小姓ケルビーノとの間で繰り広げられる4幕の喜劇オペラでモーツァルトのイタリアオペラの頂点となる作品です。アリア「自分で自分がわからない」は、ケルビーノが思春期の少年の胸のうちに呼び起こされた恋の情念の炎をスザンナに打ち明ける場面で歌われます。次の、アリア「早くいらっしゃい すばらしいあなた」は、スザンナが終盤で(伯爵夫人と示し合わせ浮気者の伯爵をこらしめようと)伯爵夫人の格好で伯爵を誘う場面で歌われますが、実は心の内にある自分の婚約者フィガロへの熱い想いを歌い上げます。

 

 

 

レチタティーヴォ 「ついにその時が来たわ」 と アリア 「早くいらっしゃい すばらしいあなた」

Recitativo “Giunse alfin il momento” and Aria Deh vieni, non tardar

歌詞大意》 

ついにその時が来たわ/心おきなく楽しむのよ/いとしい人の腕に抱かれて/不安は胸から出ていって!/私の喜びを邪魔にしに来ないで/
まるで この愛の炎に/快適なこの場所も 大地も 大気も 応えているようだわ/夜の闇も私の秘め事を隠してくれる

早くいらっしゃい すばらしいあなた/
愛があなたを呼んでいる/月が夜空に輝き 大気が暗く/辺りが静まっている間に/
小川はささやき そよ風はたわむれ/その甘いざわめきに 心はよみがえる/
花々は微笑み 草はみずみずしく/すべてが 人を愛の喜びに誘う/
いらっしゃいいとしい人/樹木で隠されたこの場所へ/
いらっしゃい あなたの額を/バラの冠で飾ります

 

 

アリア 「自分で自分がわからない」

Aria Non so piu cosa son, cosa faccio

《歌詞大意》

自分で自分がわからない/心が燃えたり 凍ったりする/
女性に会うと 顔が火照り 動悸が高まる/
愛という言葉を聞いただけで/僕の胸は震える/そして、何ともいえない/愛への想いが こみ上げて/愛を語りたくなる/

自分で自分がわからない/心が燃えたり 凍ったりする/
女性に会うと 顔が火照り 動悸が高まる/
寝ても 愛を語り 覚めても 愛を語る/
水に 影に 山に 花に 草に 泉に/こだまに 空気に 風に向かって/
でも言葉はむなしく消えていく/

誰も聞いてくれなくても/僕は自分に恋を語るのさ

 

オペラ 皇帝ティートの慈悲より二重唱 「ああ、これまでの愛に免じて許して下さい」 K.621 

Duet Ah perdona al primo affetto from from the Opera La clemenza di Tito KV 621

皇帝ティートの慈悲は、モーツァルトの最晩年に魔笛やレクイエムと並行して作曲されたオペラですが、急いで作曲したため一部を弟子に任せたのではないかなど疑いもあり、初演の失敗の後、長く注目されてきませんでしたが、最近になって見直され注目されている作品です。心やさしくと努める皇帝ティート、その臣下であり親友であるセストを中心に、複雑な人間関係のなかで、友情と愛を描いています。セストの友人アンニオは、セストの妹、セルヴィリアと恋人同士でしたが、皮肉なことに、「セルヴィリアを妃に迎えたい、ついては本人に伝えて欲しい」という話を、皇帝ティートから直接受けてしまいます。この決定的な破局に向かうともいえる知らせをアンニオは、セヴィリアに伝えることになり、そこで愛する二人がさだめを嘆き、永遠の愛を誓い合い歌うのが、このデュエットです。  

《歌詞大意》

 どうかゆるして これまでの愛に免じ さっきの軽率な言葉を。(セルヴィリア)/
僕の唇が悪いんだ 君を そう呼びなれていた唇が (アンニオ)/
あなたは私の最初の人 心から愛していたわ。そしてあなたは最後の人 この心にいつまでも住み続けるわ(セルヴィリア)/
何て優しい彼女の言葉。(アンニオ)/
あなたは愛しい希望の星(セルヴィリア)/
その言葉を聞けば聞くほど 愛しい思いも また募る/魂と魂が一緒になる時 心は悦びに打ち震える /ああ この世から消え去ればいい 愛に値しないものは全て(二人)

 

 

W.A.モーツァルト(17561791) / ディヴェルティメント 変ロ長調 KV.137

アンダンテ – アレグロ・ディ・モルト – アレグロ・アッサイ

 

W. A. Mozart / Divertimento B-flat-Major KV.137

Andante Allegro di molto Allegro assai

 このディヴェルティメントは1772年、16歳の時にザルツブルクで3曲ひと組として作曲されたもので、モーツァルトの自筆譜で現代に伝わっています。しかし、ディヴェルティメントという表題は、他の人の手によるものであるため、各パート1人の弦楽四重奏で演奏する室内楽か、弦楽合奏のための曲なのか、また、どのような目的で作曲されたかなど、学者の間でも意見の分かれる曲のようです。しかし、そのような議論を忘れさせるほど若きモーツァルトの才能を感じさせる佳品です。

 曲は、他の2曲と異なり、3つの楽章からなり、しっとりとしたソナタ形式の第一楽章、前の楽章と同じ主題動機からアイデアを得たと思われる速いソナタ形式の第二楽章と続き、同じ音型が何度もくり返される快活な第三楽章で終了します。

本日の演奏では、他の2曲を演奏したときと同じように、各パート1人の室内楽編成をとることにし、また、低音にはバロック時代の通奏低音(チェンバロと低弦楽器の組み合わせ)の名残も感じられる事から、チェロ、コントラバスとチェンバロで低音を演奏することにしました。山手バロッコらしい響きがでるので気に入っています。

 

 J.ハイドン(17321809)

チェンバロと弦楽合奏のための協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-11 より 第一楽章(ヴィヴァーチェ)

J. Haydn / Harpshichord Concerto D-major Hob.18-2 1st movement Vivace

Vivace

 ハイドンは初期のチェンバロ用の協奏曲から円熟期のピアノ協奏曲まで鍵盤楽器の協奏曲の発展にも貢献しました。この曲は1784年、ハイドンの交響曲や協奏曲のスタイルが発展円熟した頃の作品で、複数の出版社から出版され当時から現在まで良く知られている曲です。様式的には、同時期にウィーンでピアノ協奏曲の公開演奏会を開始したモーツァルトに刺激を受けて作曲されたとも言われているように、オーケストラの前奏、技巧的かつ構造的な独奏、独奏とオケの有機的な掛け合いなど、いずれもハイドンのピアノ協奏曲の中でもずば抜けた存在感を持っています。

独奏はチェンバロまたはピアノと指定されていますので、本日はチェンバロで、またオーボエ、ホルンを含むオーケストラをフルートと弦楽五重奏の編成で演奏します。

 

 

 

J.ハイドン(17321809)/J.P.ザロモン(17451815)

フルート、弦楽とチェンバロのための交響(五重奏)曲 第104番 ニ長調 「ロンドン」より

第一楽章(アダージォ/アレグロ) − 第四楽章(アレグロ・スピリトーソ)

J. Haydn/J.P.Salomon

Symphony Quintett D-dur after Symphony 104 “London

Adagio/Allegro Allegro spiritoso

 ハイドンは長らくエステルハージ候の宮廷楽長として、交響曲、協奏曲や室内アンサンブルの作曲と演奏を行いました。田舎の宮廷にとどまってはいましたが、前衛的で完成度の高い彼の作品は広く筆写譜や出版譜として取引され、その名声はヨーロッパ中に鳴り響いていました。またモーツァルトとも親交が深く、モーツァルトが斬新な弦楽四重奏曲を献呈し、現在ハイドンセットとして代表作となっているのも天才同士の交流ゆえのものと考えられます。

 エステルハージ候がなくなり、自由の身になった晩年には、英国の興行師ザロモンの招聘を受けロンドンに2度滞在し、12曲の名作「ロンドン交響曲」を作曲・演奏し、熱烈な歓迎を受けました。ザロモンは、ハイドンのこの交響曲の演奏の際にコンサートマスターも務めた名ヴァイオリニストであり、作曲家でもありました。彼はハイドンの交響曲の版権を買い取り、弦楽四重奏にフルートとピアノを加えた室内楽曲として編曲出版しました。

本日はこの交響曲(五重奏曲)集のなかで、ハイドンが2回目のイギリス滞在を終え帰国する前の1795年に作曲・初演され、ハイドンにとっても最後の交響曲となった「ロンドン」をザロモンの出版譜を元に演奏いたします。第四楽章のテーマはクロアチアの民謡に由っていることが知られていますが、ハイドンの仕えたエステルハージ家(ハンガリー、クロアチアを領地)周辺で採録されたものなのかも知れません。

 

アンコール

どうもありがとうございました。

沢山の拍手をいただきましたので、ハイドンに敬意を表して、先ほどのチェンバロと弦楽合奏のための協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII-11の第三楽章をお送りします。
ハンガリー風という表題がついていますように、何か土臭い乗りの良い曲になっています。

どうもありがとうございます。それではモーツアルトにも敬意を表し、フィガロの結婚から有名なデュエット「手紙の歌」をお届けします。召使いのスザンナ、伯爵夫人の2重唱で、先ほどスザンナが歌うアリアの伏線になる伯爵誘いだしの手紙を書いている場面です。伯爵夫人が文面を伝え、スザンナが書く・・・といった風情です。

どうもありがとうございました。

 

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