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アンサンブル山手バロッコ 第10回演奏会
10th Concert

2003年5月5日(祝) 午後3時開演 山手234番館 レクチャールーム
3:00pm 5 May 2003 at Yamate 234 House

オリジナル楽器によるバロック・コンサート バロックの家庭音楽
"Baroque House Music"

出演 EnsembleYamate-Barocco
わたしたち「アンサンブル山手バロッコ」は、98年、横浜山手の洋館 山手234番館のリニューアルに行なわれた記念のコンサートをきっかけに、山手在住のリコーダー愛好家 朝岡聡を中心に結成された、バロック時代の楽器(古楽器)を使った演奏団体で、継続的に山手の洋館での演奏活動を続けています。本日の演奏メンバーを紹介します。

朝岡 聡 Satoshi Asaoka(リコーダーRecorder: 慶応大学卒業後、テレビ朝日に入社、95年よりフリーキャスターとして活躍中。慶応バロックアンサンブルでリコーダーを演奏。大竹尚之氏に師事。当アンサンブル主宰。著書に 「笛の楽園 私のリコーダー人生」がある。  

曽禰 寛純 Hirozumi Sone(フラウト・トラヴェルソFlauto traverso : フルート演奏を経て、フラウト・トラヴェルソを独学で学び、慶応バロックアンサンブルで演奏。カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。 

角田 幹夫 Mikio Tsunoda(バロック・ヴァイオリンBaroque violin、ヴィオラ・ダ・ガンバViola da gamba) :慶応バロックアンサンブルでバロック・ヴァイオリンを演奏。独学でヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶ。現在、カメラータ・ムジカーレ同人。当アンサンブル発足メンバー。  

天野寿彦 Toshihiko Amano(バロック・ヴァイオリンBaroque violin3歳からヴァイオリンを始め、最近バロックに転向。現在東京芸術大学古楽科で、バロック・ヴァイオリンを若松夏美氏に、アンサンブルを小島芳子氏に師事

脇田 美佳 Mika Wakita(チェンバロCembalo) : チェンバロを岡田龍之介氏に師事。大学卒業後、渡邊順生、曽根麻矢子両氏にレッスンを受け、研鑽を積んでいる。カメラータ・ムジカーレ同人。

木村 理恵 Rie Kimura(バロックヴァイオリンBaroque violin: ヴァイオリンを渡辺慶子氏に師事。


 

オリジナル楽器によるバロック・コンサート バロックの家庭音楽
"Baroque House Music"

プログラム

アンサンブル山手バロッコの第10回演奏会にようこそおいで頂きました。

おかげさまで、5年、10回のコンサートを山手の洋館で続ける事が出来ました。


 さて、今回は「バロックの家庭音楽」と題して、バッハやヘンデル、テレマンの周辺の家庭の音楽会や宮廷のレッスンで使われた曲をお届けします。上の絵画は、バッハの一家の家庭音楽の風景を写し取ったものであるとも言われています。バッハの家庭からは、長男フリーデマン、次男エマニュエルなど後世に名を残す立派な音楽家が何人も巣立ちましたが、バッハ自身「私の子供は生まれながらにしての音楽家で・・・」と自慢するくらいの音楽一家でしたし、美しいソプラノ歌手でもあった2番目の奥さんのために「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」を残しており、バッハが奥さんと家族の楽しみのための多くの曲を記しています。中には幼いバッハの子供達の作曲した曲も書き込まれ残されていることもあり、家庭音楽会も珍しくなかったと思われます。また、ライプチッヒの音楽監督に就任してからは、ヨーロッパ中の名手がバッハ家を訪れました。「ライプチッヒの町を訪れた名のある音楽家で、 父に面会を請わないものはいなかった」と次男エマニュエル・バッハが誇らしげに語っています。名演奏家がしばしばバッハ家を訪れ、バッハの演奏を聴き入ったり、一緒に合奏を楽しんだりしたのではないでしょうか?


 もう一人のバロックの大作曲家ヘンデルは、ドイツを離れ、イギリスに渡り、英国王室のアン王女の音楽教師をし、徐々に認められオペラやオラトリオで名声を博しましたが、王女のレッスンのためにチェンバロ曲や室内楽を残しています。バロック時代最大の才人テレマンは、音楽好きの貴族や当時台頭してきた裕福な商人を相手に、家庭音楽の曲集を次々出版し、大成功しました。バロック時代の家庭音楽は、やがてクラシック時代に入り、サロン音楽へと発展しますが、本日は、「当時の家庭でコンサート」の趣向で、 (当時にトリップしたつもりになっていただき、この山手234番館にいながら)、当時の楽器とスタイルも組み合わせてお聴き頂きます。

J.S.バッハ チェンバロとフルートのためのソナタ イ長調 BWV1032 
J.S.Bach / Sonata for Flute and Cembalo A-Major BWV-1032

ヴィヴァーチェ − ラルゴ エ ドルチェ − アレグロ

 バッハはライプチッヒに移ってたくさんの教会音楽を生み出しましたが、一方で、コーヒーハウスでの公開演奏会「コレギウム・ムジクム」の指揮をとり、商業都市ライプチッヒの名物にまでに仕立て上げました。この演奏会でも家庭音楽と同じく、バッハや友人、息子達の独奏が活躍する協奏曲やソナタ等が演奏されたと考えられます。本日演奏するイ長調のソナタは、1736年ごろバッハ自身で書き込まれた2台のチェンバロ協奏曲のスコアの余白に書きとめられた形で残されています。何らかの事情で、一部の余白が切り取られているために、1楽章の後半1/3程度が失われており、本日の演奏ではB.Kuijken氏の復元版で演奏します。曲はトリオソナタの形式ですが、通常の2つの旋律楽器、低音楽器とチェンバロという4人構成ではなく、フルートとチェンバロ右手が2つの旋律の声部、チェンバロの左手が低音を演奏するバッハの開拓した「2人でトリオ」の形式を採用しています。この曲は第一楽章と第三楽章に協奏曲の様式を取り入れており、たった2人の奏者で、オーケストラの総奏や独奏の入れ替わりを模した、分かりやすいが、大きな世界をもった曲になっています。

 

J.S.バッハ 無伴奏ヴィオラのための組曲 ト長調 BWV1007
J.S.Bach / Suite for Viola G-Major BWV-1007

プレリュード −  アルマンド  −  クーラント −  サラバンド −  メヌエットI,II −  ジーグ

 たった一台の楽器、しかも当時一般に低音伴奏楽器だったチェロのためにバッハが残した6曲の組曲の1番目で、バッハの2番目の奥さんアンナ・マグダレーナの美しい筆写譜で現在に伝わっています。ただ、バッハ自身の書いた楽譜でないために、昔から音や記号の間違いが指摘されてきました。しかし、最近はもう一度マグダレーナの楽譜に戻ろうという研究も盛んに行われています。また、作曲にあたってはバッハはヴィオラを弾くのが好きだったと伝えられていますが、この曲集もヴィオラを試し弾きながら作曲したのではないかとも言われています。(ちなみに、本日の奏者はそう確信しています)。曲は当時のフランス風の組曲に従って、有名な前奏曲に続き、緩急の舞曲が披露され、最後は軽快なジーグで締めくくられます。

 

 

G.Ph.テレマン リコーダーと通奏低音のためのソナタ ハ長調 「音楽練習帳」より 
G.Ph.Telemann / Sonata for Recorder and Basso continuo C-Major from "Musical Lessons"

アンダンテ − ヴィヴァーチェ − ラルゴ − アレグロ

 テレマンは、先に述べたように、貴族や裕福な市民層の音楽愛好家とその演奏を意識していくつもの曲集を出版し、ヒットを重ねた商売人でもありましたが、人気の秘密は楽器のことを知り尽くし、聴いて弾いて楽しい曲を作ることにかけては右に出るものがいなかったためと考えられています。当アンサンブル主催の朝岡も著書「笛の楽園」 (東京書籍)で、「・・・『忠実なり音楽の師』や『音楽の練習帳』といったあなたの出版作品には多くのリコーダー用の曲が載ってますよね。リコーダー愛好者にとってそれらはまさに「師」であり「練習帳」なんですよ。・・・・素晴らしいネーミングだ、テレマンさんがリコーダーのことを考えてつけたんじゃないですか?・・・」とラブレターを送るほど、リコーダーを知り尽くした名曲を多く残しています。本日は、「音楽の練習帳」から明るい曲想の名曲 ハ長調のソナタを演奏します。テレマンはドイツの名楽器製作家デンナーの高性能のリコーダーを知っていたらしく、高い音や飛び跳ねる音が随所に散りばめられ、技術的にも音楽的にも、現代の我々の考える「練習帳」の印象とは違う、立派なコンサート曲に仕上げられています。

 

G.F.ヘンデル チェンバロ組曲 ホ長調 「調子のよい鍛冶屋 付」 より 
G.F.Handel / Aria and variations from Suite for Cembalo E-Major 

アリアと変奏 

 ヘンデルはドイツ生まれですが、ロンドンに渡り、英国王室の音楽教師を務め、王女のチェンバロ教育のために組曲を作曲しました。ヘンデルは友人の出版社に頼み、この組曲を集め、1720年に、チェンバロ曲集として出版しました(ヘンデル自身の前書きでは、この曲集をレッスンと呼んでいます。)。本日演奏するホ長調の組曲(抜粋)は、最後しめくくるをアリアと変奏が「調子の良い鍛冶屋」として有名になったこともあり、曲集で最も親しまれている曲です。「調子のよい鍛冶屋」の名前は、「ヘンデルが、鍛冶屋さんが機嫌よく歌ったメロディー(アリア)を元にして作曲した」によるもの、どうも19世紀になっての逸話による命名であり、ヘンデルやアン王女は知る由もなかったことのようです。

J.S.バッハ フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ ト長調 BWV1039
J.S.Bach / Sonata for Flute, Viola da gamba and  Cembalo G-Major BWV-1039

アダージョ − アレグロ マ ノン プレスト − アダージョ エ ピアノ − プレスト

 バッハのお気に入りだったらしく、2本のフルートと低音のトリオソナタ、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのソナタおよびオルガン独奏の形で現在に伝えられています。 (バッハの息子のバッハの息子ヨハン・ゴットフリート・ベルンハルトがフルートの名手だったと伝えられています。)本日は、この最初の2つの形を組み合わせ、フルートとヴィオラ・ダ・ガンバをソロ楽器としてトリオソナタの形式で演奏します。曲は当時のトリオソナタの様式どおり緩急緩急の4つの楽章からなりますが、明るい曲想の裏側で、掛け合いや模倣などバッハならではの凝った仕掛けが組み込まれており、演奏していても緊張感のある曲に仕上げられています。



アンコール

F. クープラン 王宮のコンセール第三番 より シャコンヌ イ短調
F.Couperin / "Chacone" a-minor from "Royal Concert" No.3 

G.Ph.テレマン トリオソナタ ホ短調から 第2楽章 アレグロ
G.Ph.Telemann / "Allegro" from Sonata for Recorder, Flute and basso continuo e-minor

F. クープラン 王宮のコンセール第三番 より シャコンヌ

 

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